マイクロソフトが2023年3月に発表した「Microsoft 365 Copilot」で「できること」とは?の【前編】ではMicrosoft 365 Copilotの概要をふまえて、「Copilot in Word」「Copilot in Excel」の具体的な機能を紹介しました。
【後編】で最初に取り上げるのは「Copilot in PowerPoint」。いわずと知れたプレゼンテーションソフトは、チャットで簡単な指示を入力するだけで、既存の資料やデータ、アイデアなどをもとにプレゼン資料を生成してくれるアプリケーションに進化しています。
それぞれのソフトをまたいで内容を参照できるのも、Microsoft 365 Copilotの魅力のひとつ。WordやExcelのいくつかの資料を指定すれば、内容の要約やプレゼンテーションに必要な情報の抽出を自動で行ってくれるため、情報整理の負担をかなり軽減できそうです。
AIを活用して、情報をまとめただけの簡易なスライドの見栄えをよくしたり、不足情報を追加したり、指定した枚数に収めたりすることもできます。感情に訴えるストーリーテリング、文章表現、デザインやアニメーションの細かいニュアンスなども調整できるため、プレゼン資料が格段にグレードアップします。
「Copilot in Outlook」は、複数人のやり取りによって複雑化したメールスレッドの情報を、スマートに要約できるソフトです。議論されている内容の整理や、解決していない課題の抽出も簡単に行なえます。受信メールの分類・管理がしやすくなり、返信漏れの防止にもつながるでしょう。
もちろん受信メールを含むほかのメールや資料の内容をふまえて、返信メールや招待メールなどの作成も可能です。Wordと同様、文章のトーンなどの調整ができるのも便利です。
「Copilot in Teams」は、ミーティングの内容をリアルタイムで記録。書記をまかせられるだけでなく、論点整理もしてもらえるので、ミーティングの生産性向上につながります。加えて、ミーティングの流れを止めることなく、問題解決のヒント、議論の余地があるポイント、決定事項から推奨される次のアクションなども提案してくれます。
従来のツールの性能アップに加え、Microsoft 365 Copilotでは新たに「Business Chat」というサービスを活用できるようになりました。
Business Chatは、Microsoft 365の各ツールとカレンダー、メール、チャット、連絡先、メモなどに散在するデータを統合・横断できるソリューションです。
Business Chatを活用すると、「資料作成のプロセスをチームメンバーに共有」「Microsoft 365、メモ、カレンダー、メール、チャットをすべて参照して資料を作成」「プロジェクトに関連する情報を網羅的に抽出」といったことができるとのこと。ツールをまたいだ複雑なタスクも、チャットの指示だけで即座に実行してくれます。
うまく活用すれば、チーム内での情報共有がより円滑になるでしょう。
Microsoft 365 Copilotのセキュリティ
このようにフレキシブルな情報処理ができるMicrosoft 365 Copilotですが、情報漏えいやセキュリティ面での問題がないか、データ・提案に偏りがないかは気になるところです。
この点に関して、マイクロソフトは、各領域のスペシャリストを揃えて、起こりうるリスクと対処を検討していると答えています。Microsoft 365 Copilotで処理されたデータのうち、アクセスが許可されていないものは外部に漏れたり、AI学習のために利用されたりする心配がないため、安心して利用できそうです。
さて、基本的な機能について広報したMicrosoft 365 Copilotは、いつから本格的に利用できるのでしょうか、残念ながら、現時点ではリリースのタイミングはまだ開示されていません。
とはいえ、マイクロソフトは数ヵ月以内にMicrosoft 365 Copilotの提供をスタートする予定と発表しています。実際に仕事に導入できる日は、そう遠くないはずです。
今後は、このようなAIを搭載したビジネスツールを使いこなせるかどうかが、企業や個人の生産性に大きな差を生むことになるでしょう。最新の動向にアンテナを張って、迅速に取り込めるよう準備しておきましょう。