ブロックチェーンを活用して発行される非代替性トークンNFT(Non-Fungible Token)について、前編と後編に分けてレポートするシリーズの第2回。前回の記事では、NFTの仕組みと5つの活用メリットについて解説しました。今回は、NFTがどのように活用されているのか、最新事例を紹介していきます。
さて、NFTと聞いて多くの人が最初にイメージするのは、デジタルアートではないでしょうか。
前編で解説したように、非代替性・プログラマビリティ・手続きの自動化といったNFTの特徴を最大限に活かせる領域です。約75億円で落札された「Beeple」という作家のデジタルアートをはじめ、多くの作品が高額で取引されています。
とはいえ、NFTとして取引されるのはデジタルアートだけではありません。
たとえばTwitter創設者のジャック・ドーシーは、自身の初ツイートを出品。約3億1700万円という高値となりました。そのほかにも、Linkin Parkの楽曲、漫画・アニメの限定アイテムなど幅広いコレクターアイテムの市場が広がっています。
スポーツ選手やアイドルのデジタルトレーディングカードも、高額で取引されるアイテムのひとつです。NBAのデジタルトレーディングカードには、数千万円の値がつくケースも少なくありません。通常のトレーディングカードと異なり、ハイライト場面の動画がコンテンツ化されているのが特徴です。
さらに、NFTに付加価値を与えたり、NFTを起点に新たな経済圏をつくる取り組みも生まれています。
次世代型クレジットカード「ナッジ」は自社カードの利用者に、有名スポーツ選手のNFTをプレゼントするキャンペーンを実施。一方、現代アーティストのトム・サックスは、NFTの保有者にNIKEとのコラボスニーカーをプレゼントしました。
Yuga Labs社が販売するNFTは、コミュニティに参加できる会員権としても機能します。Forbesも、オンライン記事の広告を非表示にする会員権をNFTとして販売。購入した会員権を他者に譲渡・販売できるのも、NFTならではの特徴です。
この特徴を活用したのが、オウチファイナンスというサービスです。物件・土地をNFT化して提供。国外の不動産を含む投資の参入障壁が下がれば、市場が活性化するかもしれません。
NFTを用いたゲームやメタバース内でも、キャラクターやアイテム・不動産などのデータが売買されています。アバター専用のファッションアイテムを有名ブランドがデザインするケースもあり、レアアイテムを転売するプロゲーマーまで誕生しました。
身分証明のNFT化も、注目度の高いソリューションです。各種サービスの本人認証を効率化するだけでなく、個人情報保護の観点からも期待が集まっています。音楽業界や演劇業界では、このメリットをチケット販売に活用。本人認証技術との組み合わせにより、転売防止を実現することができるのです。
ほかにも、法的文書や医療記録・請求書などの改ざん防止、所有するNFTを担保とすることで暗号資産の借り入れができるサービス、NFTクリエイターの支援事業、NFT開発代行など幅広いソリューションが続々と生まれているNFT市場。その社会的価値は、ますます高まっていくでしょう。
「NFTを知らずして、これからのビジネスを語ることはできない」といっても過言ではありません。新しいヨコ文字が増えたとお嘆きの方も、数年後には当たり前のようにNFTを語り、利用しているでしょう。乗り遅れ気味のシステムエンジニアのみなさんには、早々にキャッチアップするようおすすめいたします。