前編では「IIoT」の概念や最近の動向を紹介しました。後編ではIIoTの未来と、ソルクシーズグループの取り組みについて解説していきます。
IT専門調査会社のIDC Japan 株式会社によると、2020年に6兆3125億円とされている国内IIoT市場のユーザー支出額は、2025年には10兆1902億円に達するそうです。
最大の成長要因は、少子高齢化による労働人口不足。IIoTによってサプライチェーンが最適化されれば、より少ない労働力でも生産活動が行えるようになるため、人員不足の問題を抱える多くの企業が導入の検討を始めています。
加えてICT技術の発展もIIoTに大きな影響を与えます。例えば超高速・低遅延・多数同時接続の通信規格である5G(第5世代移動通信システム)が普及すれば、大量のデータをより安定的かつスムーズに取得できるようになります。工場の生産ラインや流通のフォローから取得したビッグデータの分析・活用には、AIの技術が活用されます。
IIoTのニーズ拡大に伴って、データの取り扱いに関連する法整備が進んでいくでしょう。環境が整えば、さらに多くの企業がIIoTの導入を推進していくだけでなく、データ活用のコンサルティングなどのサービスも増加していくかもしれません。
ソルクシーズグループでも「イー・アイ・ソル 」と「コアネクスト 」の2社が、独自のIIoTサービスを展開しています。
株式会社イー・アイ・ソルの「IoT予知保全サービス」は、計測に関する技術とノウハウを活かして、設備の稼働状況や工事のプロセスを「見える化」するものです。設備の劣化・故障をあらかじめ予測することでトラブルを未然に防ぎ、生産性の向上が実現できます。
省エネ・低コストで膨大な量のデータを取得できるうえに、計測・分析・実証が自動化できるため人件費削減や人員不足の解消にもつながるでしょう。
一方、株式会社コアネクストが2020年9月にリリースした「CoreBridge(コアブリッジ) 」は通信販売の管理システムと物流システムを低コストでつなぐことができるサービスです。
通信販売サービスの提供者がCoreBridgeを導入すれば、お客様が個別に注文した複数のデータを、一つに統合した状態で物流システムに連携できます。配送業務の効率化やコスト削減につながるだけでなく、まとめて一度に商品をお届けできるため、お客様サービスの向上という効果も期待できるでしょう。
工場における労働者の採用難や、AmazonやUberなどのデリバリーサービスの急激な成長によって、生産・流通領域の人手不足が深刻になっています。これまで人間が担ってきた手続きや管理を自動化するIIoTは、日本全体の生産性の向上に寄与するはずです。
進化し続けるIIoT。Googleの検索候補で「いい音」「いい男」などと出なくなる日が、すぐそこまできています。