近年、話題になっている最先端技術が、2020年にどこまで進化するのかをレポートするシリーズ企画。5Gに続く第2弾は、自動運転です。
ひとことで自動運転といっても、一部をシステムがサポートする場合と全自動では、技術、法律、インフラなどが大きく変わってきます。自動運転のレベルは、アメリカの非営利団体「SAEインターナショナル」が2016年に発表した「SAE J3016」が基本となっており、日本では自動車技術会がわかりやすくまとめています。
現在、ニッポンの公道を走っているクルマの大半は、人間の操作が100%の「レベル0」。自動運転は最低レベルでもシステムによるステアリング操作が伴うものとされており、レベル1~5に分類されています。
まずは、5つのレベルがどう定義されているのかを把握しておきましょう。
レベル1⇒システムがハンドルを操作し、加速・減速のどちらかをサポート
レベル2⇒システムがハンドルを操作し、加速・減速のどちらもサポート
レベル3⇒特定の場所でシステムがすべてを操作、緊急時は人間が操作
レベル4⇒特定の場所でシステムがすべてを操作
レベル5⇒場所の限定なくシステムがすべてを操作
われわれがイメージする自動運転はレベル5ですが、現在はどこまで実用化の目処がたっているのでしょうか。既にリリースされているシステムは、レベル2までの「運転支援」です。
アメリカの電気自動車(EV)企業のテスラが、2019年8月に日本で販売を開始した「オートパイロット」は、車間距離をキープするアダプティブクルーズコントロール(ACC)、車線逸脱防止・車線維持走行(LKA)、自動ブレーキシステム、急発進抑制システムを搭載。これらはすべて、レベル1に相当します。
同時期に日産自動車がスカイラインにインストールした「プロパイロット2.0」は、レベル2をクリアした画期的なシステム。
3Dマップを活用して自らの位置を確認し、運転をサポートする技術で、アクセス・ブレーキ・ハンドル操作をシステムが担当することができ、一定のエリアや車線内であれば複数のクルマの挙動を制御することができるそうです。
「プロパイロット2.0」には、高速道路の複数車線で追い越しや分岐を自動認識し、運転をフルサポートするレベル3相当のテクノロジーも搭載されているそうです。
現在は、トヨタ、日産、ホンダの3社が、「2020年にエリア限定でレベル3を実現する」としており、高速道路だけでなく、一部の公道においてもシステムが基本的な動作を制御する「自動運転」が実現するかもしれません。
Google系列の「Waymo」は、既に地域限定でレベル4を試験導入しており、テスラは「2020年半ばまでに、レベル5の自動運転車を100万台以上生産する」と公言しています。レベル3以上の自動運転車なら、緊急時に対応できれば車内でスマホやテレビ視聴もOKとなります。
1年後、わが国の自動車文化はどこまで進化しているでしょうか。週末のドライブなどで、移動時間がより楽しくなりそうですね!