ここ数年で、にわかに注目度が高まっている「エッジ・コンピューティング」。
クラウドのようにサーバを集約してデータ処理をするのではなく、IoT機器やサービス利用者がいるエリア周辺のネットワークなど、データが生成されるデバイスやシステムにより近いところで処理を行うモデルです。
この新しいモデルが話題になっているのは、2020年以降にリリースされる5Gとリンクしているからです。
「高速」「大容量」「多数接続」「低遅延」が実現する5Gは、対応するスマホなどのIoT機器への導入によって、サービスやコンテンツが飛躍的に拡大するといわれています。
新たに発生する膨大なデータを処理するためには、クラウド上にあるコンピュータの数を増やすのではなく、「トラフィック最適化・高速化」「低遅延」「低コスト」「高セキュリティ」が実現できるエッジ・コンピューティングを活用するのが効果的というわけです。
富士キメラ総研が2018年6月に発表した「2018 5G/高速・大容量通信を実現するコアテクノロジーの将来展望」によると、5Gに対応するエッジ機器の世界市場は2019年に3兆5165億円。2023年には26兆1400億円に膨らみ、エッジ機器全体の60%が5G対応となる見通しです。
スマホ以外で、大規模な市場が形成されると注目されているのは、自動運転車、ドローン、家電などのIoT製品や、工場の生産ラインなど。入退館管理システムやインターネットTVなどの映像システムにも導入され、業務用ロボットにもエッジ・コンピューティングが取り入れられるといわれています。
多くの製品やサービスが5G対応となったり、AIが用いられたりすると、クラウドで実現する処理スピードではサービスのクオリティに限界が生じます。
ITトレンドを調査・発表している「ガートナー」は、2022年には75%のデータがクラウドやデータセンター以外から発生すると予測。さまざまなサービスやシステムが、映像や個人情報、センサー計測のデータなどをリアルタイムでやりとりする世の中が到来するものと思われます。
10年後の社会は、街中にあるさまざまなサイネージやウェアラブルデバイスが一人一人に合わせて話しかけてきたり、自動運転車やドローンが周囲をせわしなく動き回っているのが当たり前になるのでしょうか。
新しい技術やサービスに関する情報を常にインプットしたいエンジニアのみなさんは、「IoT」「AI」「5G」「エッジ・コンピューティング」の4点セットにご注目ください。