【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。
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今年に入って突如耳にするようになった「メタバース」。
いにしえの阪神の三冠王に関する何かかな?と一瞬思ったがそんなわけはなく、「メタ」は「超」や「高次の」などという意味であり、「バース」は阪神の・・・ではなく「ユニバース」の「バース」。
つまり直訳すると「超宇宙」ということになる。
なおさらなんのこっちゃという感じだが、「現実世界を超越した仮想空間およびそれを利用したサービス」のことを指すらしい。
はっきりいってピンとこない。
仮想空間で色々出来るサービスは、既にMMORPGのようなオンラインゲームの世界で実現されていて、それとの違いが分からない。
何が違うん?と調べてみた。自分の理解としてだが、違うとも言えるし違わないとも言えるようだ。
仮想空間での交流や活動という、今でいう「メタバース」そもそもの概念が90年代後半のMMORPGにおける中の人同士のコミュニケーションから始まっていた(らしい)。
そして現在で言う「メタバース」の草分け的存在であり、2000年代半ばに有名になったあの「Second Life」というサービスは、そのMMORPGから派生したサービスとして認識されていた(らしい)。
その後も仮想空間における交流サービスとしてのMMORPGは、同時参加数が数百人程度のマイナーなものを始めとして、国内外で多数リリース(+淘汰)され、同時接続数が百万人を超えるオンラインゲームまで登場するようになった。
近年ではFortniteのような仮想空間におけるバトルロイヤルゲームの中でコンサートを開催するような試みも発生している。
ただし当然ながらゲーム上ではチャット、ゲーム内通貨やアイテムのやり取り、なんなら倒しあう、のように出来ることに制限があり、発展性や現実へのフィードバックがない。
そこで、ゲームで知り合った人達が、TwitterのようなSNSやDiscordのようなチャットツールを介して繋がるような現実へのフィードバックのされ方が、ここ10年ほどで平成世代を中心に本当によく見られるようになった。
これらのオンラインゲームも全て「メタバース」であるらしい。
では「オンラインゲーム=メタバース」か?というとそうではない。
コロナ禍もあり、ここ最近で急激に増加しているのが、仮想空間を利用したイベントである。
イベント(展示会、セミナーなど)では専用の仮想空間が用意され、ユーザーは事前登録した際に送られて来たユーザーIDでログインする。
すると仮想空間を自分のアバターで歩き回ることが出来るようになり、同じようにログインしている他のユーザーや、主催者ユーザーと話したり、展示物を見たりすることが出来る。
そういった仮想空間で出来ることは、オンラインゲームよりもはるかに少ないが、ビジネスの目的に特化した空間を構築してユーザーに提供されている。
これがここ最近でよく聞くようになったメタバースと言われるサービスであるが、現実で出来ることをただ仮想空間でやってるだけの置き換えサービスじゃん、と思うかもしれない。
しかしメリットはたくさんある。
展示会や講演も自宅から行うことが出来るし、設営する場所も資材も不要であり、多くは工期もはるかに短くすむだろう。
参加者側も会場まで時間をかけて移動しなくてもいいし、マスクをする必要もない。もちろんアバターにマスクを付けさせるのは自由だ(アメリカンジョーク)。
ここまでがメタバースの現在地だが、今後は個別サービスではなく、インターネットのような統合化された基盤上で、まさしくもう一つの世界が仮想的に実現されるかもしれない(らしい)。
そうなると、おれの周りにもいるが、一部のネトゲ廃人のように、プライベートが仮想世界にどっぷり浸かるような人も増えるだろう。
核家族や晩婚化、少子化、高齢化などが叫ばれる中でコロナ禍が襲来し、拍車がかかった状態の我らがJAPANだが、そういったサービスの充実は、人々をどちらに向かわせるだろうか。
孤独を紛らわせる手段にしかならないのであれば、あまり良い方向には向かわないだろう。しかし多様なサービスが一つの基盤で実現されることで、新たなコミュニケーションや出会いの一助となり、本質的に世界が広がっていけば、とても面白いと思う。
さて、少なくとも現時点でメタバースはコロナ禍という期間限定で利用されるサービスのように見えるが、そもそも人はめんどくさがりであり、コロナ禍後も利便性を鑑みると主流になる可能性がある。
コロナがなかったらまだ流行らなかっただろうな、、、という気はするし、コロナも悪いことばかりじゃないなと、物事のポジティブな面を見ていこうと思う今日この頃である。