「ワークシフト」という言葉のネット上での人気(Google検索数)は、同名の書籍(※1)が出版された2012年をピークに下がってきていますが、最近また雑誌(※2)やセミナーで「ワークシフト」「働き方」という言葉を目にするようになりました。
働き方の変化は、クリエイティブ層など「アーリーアダプター」(※3)を中心に起きており、時間差を経て一般にも広がってくる可能性があると考えています。
この特集では、身近にいる「少数派として働く人々」へのヒアリング結果をもとに「新しい働き方」について考えます。
※1:「ワーク・シフト ― 孤独と貧困から自由になる働き方の未来図」(リンダ・グラットン)
※2:Harvard Business Review (ハーバード・ビジネス・レビュー)別冊 2015年5月号表紙「10年後の世界で通用する働き方・学び方」など
※3:流行に敏感で、積極的に情報収集を行い、判断する人。
「新しい働き方」に関するインタビュー特集、今回は「海外勤務者」にヒアリングしました。お話をうかがったのは、【セブ島日記】 【続・セブ島日記】で楽しい記事を書いてもらっている、小次郎さん(30代男性)です。
●小次郎さんの基本情報
ロシア極東大函館校を卒業し、2年家電量販店でアルバイトを経験した後、24歳からIT業界でSE業務に従事(JAVAの開発が主)。ソルクシーズ入社3年目。
2014年7月から4か月、フィリピン(セブ島)に単身赴任。2015年1月から配偶者同行で6か月赴任後、一時帰国(その後も一時帰国をはさみ、セブ赴任継続中)。
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■ 海外駐在員という働き方■
英語より必要なもの、自国を出て気付くこと、家族のサポート
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-海外で働いてみようと思った(セブ駐在員として立候補した)のはなぜですか?
前職は30人規模の会社に勤めていたので、ソルクシーズに中途採用で入ってから人数の多さに圧倒され「このままでは組織に埋もれていってしまうのでは」という懸念がありました。日々の業務に追われる中で上司との距離も感じましたし、どうすればアピールできるのかと日々悩んでいました。
そんなとき、フィリピン(セブ島)駐在員の募集を知り、語学を学んでいたこともあるので生かせるのではないかと思って立候補しました。
語学は英語の他にロシア語を7年やっていました。自分の言葉に自信を持つことができず、話せるまでになりませんでした。大人になってアウトプットの重要性に気がつきましたね。
-実際、駐在してみてどうでしたか?
想像していたよりよかったことは、日本食材等も含めて、クオリティの差はあれど、ほとんどのものが手に入ることです。最悪の状況を想定していたのと、高校生のときに、ウラジオストク(ロシア極東)への修学経験があったので、想像していたより悪かったことは特にないです。
-赴任当初、現地メンバーとの協業にとまどいや抵抗はありましたか?
大きくはありませんでした。フィリピンでも日本と同様にパートナー企業様と働く際に起こる問題はあります。コミュニケーション、作業指示系統の認識違いなどですね。それらについてはメンバーと会話を重ねて対処しています。
-英語の必要性はどれぐらいかんじますか?
基本的に現地のメンバーはヴィサヤ語と英語しか話せないので、コミュニケーションのためには英語は必須です。英語が理解できない人は話しかけられなくなってしまいますし、相手が問題を抱えていても敬遠をされてしまうと、手助けができません。
-どんなことが海外駐在を続けるモチベーションになっていますか?
人とは違う仕事をしているということがモチベーションになっています。
主な違いは言葉ですが、指示等を別の言語に変換するという行為は、日本語でSE作業をするよりスキルを要求されると思っています。また、既存の業務ではなくエッジの仕事というか、チャレンジングな業務だと思っています。
-日本で働いていたときと報酬について変化はありましたか?
ハードシップ手当※をいただいています。また家賃も補助していただいています。
※ハードシップ手当:海外駐在員に対して支給する手当で、生活水準・様式や社会環境、気候風土の違い等から生じる肉体的・精神的負担等を勘案して支給されるもの。
-現地での勤務時間はどんなかんじですか?
勤務時間は8時間で日本と違いはありません。日本と同様に残業が必要なことが日々ありますので、現地だからと言って稼働時間が減ったということはないです。
-働き方について、日本で働いていたときと一番の違いはなんでしょうか?
基本的に違いがあるとは思いませんが、日本と時差が一時間あるので、そこを意識していないと業務がうまく回らないです。時間を以前より意識するようになりました。
-今後はどんな働き方・仕事をしていきたいですか?
ワークライフバランスを意識して、フィリピンメンバーの手本となるべく業務を行いたいです。仕事の時間は仕事に集中して取り組むことで、家族との時間を大切にできると思っています。
フィリピンの人たちはとても家庭を大事にしています。仕事があって家庭があるわけですが、家庭があって仕事があるというか・・・。
でもフィリピンメンバーの中には、仕事に集中していない結果、残業しなくてはいけなくなって、家族との時間を失って、家族のサポートが受けられなくなり、さらに仕事の集中力を欠く、といったループにはまっている人もいます。そんなメンバーの手本になりたいですね。