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【現地視察レポート】インドネシアのキャッシュレス最新事情

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キャッシュレス社会への道のりは、決してひとつではない。前回の記事では、国家主導で銀行インフラを統合し「究極の効率化」を実現したシンガポールの事例を紹介したが、同じ東南アジアでも全く異なるアプローチで急速なデジタル化を遂げている国がある。それが、人口約2億8,000万人を擁する巨大市場、インドネシアだ。

シンガポールが既存の銀行インフラを基盤にキャッシュレスを極めたのに対し、インドネシアは「そもそも銀行口座やクレジットカードを持たない人々」がデジタル決済の主役となっている。現地視察の経験をもとに、既存の段階を一気に飛び越える「リープフロッグ(カエル跳び)現象」の実情を解説する。

インドネシアについて

インドネシアを訪れてまず肌で感じるのは、若いエネルギーと圧倒的な熱気だ。大小1万以上の島々からなり、数百の民族が共生するこの国は、多様性そのものが国家のアイデンティティとなっている。新しいものを柔軟に受け入れる、非常にオープンな空気感がある。

そして、今回の視察で最も強烈なインパクトを受けたのが、都市部における絶望的とも言える「交通渋滞」である。見渡す限りの車と無数のバイクが車道を埋め尽くし、混沌とした光景がどこまでも続く。

そうした身動きのとれない状況だからこそ、渋滞の隙間を縫うように走るバイクタクシーや、食事から日用品まであらゆるものを運ぶ配車・デリバリーアプリ(GojekやGrabなど)は、もはや人々の生活に不可欠な生命線となっていた。

このような不便な生活課題を解決する手段としてデジタル技術が受け入れられており、この深刻な交通渋滞が同国のデジタル化の起爆剤になっているのではないかと感じた。

クレジットカードを持たない国の飛躍

この配車・デリバリーアプリの普及が、そのままキャッシュレス化の波に直結している。インドネシアの決済事情を語る上で欠かせない前提が、「アンバンクト(Unbanked:銀行口座を持たない層)」の存在だ。人口の半数近くが銀行口座を持たず、クレジットカードの普及率も数%にとどまっていると言われている。

しかし、スマートフォンの普及率が劇的に向上したことで、歴史的な「リープフロッグ現象」が起きた。先進国のように「現金→銀行振込→クレジットカード→スマホ決済」という段階を踏まず、現金から一気に電子マネー(e-Wallet)やQRコード決済へと飛躍したのである。


【現地スーパーレジにあったQRコード決済端末】

先述の配車アプリ等に紐づくデジタルウォレット(GoPayやOVOなど)が、日常のあらゆる支払いをカバーする“疑似的な銀行”として機能し、人々の生活インフラとして定着していた。
(QRコードは(株)デンソーウェーブの登録商標です)

国民的インフラ「QRIS」の爆発的普及

コロナ禍における非接触ニーズという強力な追い風もあったが、それ以上にこの電子マネーの普及をさらに加速させ、国中に広げたのが、インドネシア中央銀行が主導して導入した統一QRコード規格「QRIS」だ。

かつては各アプリ事業者が独自のQRコードを展開していたが、QRISの導入により、ひとつのQRコードでどの決済アプリからでも支払いが可能になった。前回のシンガポール編でも屋台での統一QR(SGQR)の普及に触れたが、シンガポールの屋台ではクレジットカードが使えないケースが多く、QR決済がその隙間を埋めていた。

インドネシアも同様で、小規模な屋台や路上の露店にまで、QRISのステッカーが当たり前のように貼られている。高価なクレジットカードの決済端末を導入できない零細店舗でも、紙に印刷したQRISのコードを置くだけでデジタル経済に参加できるため、キャッシュレスの裾野が一気に広がったと想像できる。

BNPLの台頭とクロスボーダーの最前線

アンバンクト層が多いインドネシアで、クレジットカードの代替として急速に台頭しているのがBNPL(Buy Now, Pay Later:後払い決済)だ。

銀行の与信審査に通らない若者や中間層でも、日常的なe-Walletの利用履歴やeコマースでの購買データを基にした「デジタル上の信用スコア」によって後払いが可能になる。BNPLは単なる決済手段ではなく、彼らの購買意欲を支え、経済を回すための重要な金融サービスとして浸透している。

さらに、インドネシアもシンガポールと同様、QR決済のクロスボーダー化に積極的だ。すでにQRISはマレーシア、タイ、シンガポールなどの規格と接続されており、自国の決済アプリを持ったまま周辺国でシームレスに買い物ができる環境が整っている。巨大な内需にとどまらず、ASEAN経済圏を面で捉えようとする決済ネットワークの広がりは、日本にとっても学ぶべき点が多い。

日本のキャッシュレス推進に向けて

インドネシアのキャッシュレス化は、既存の金融インフラ(銀行やクレジットカード)が未成熟だったからこそ実現した「リープフロッグ現象の良い例」でもある。しかし、国家が標準規格(QRIS)を迅速に整備し、誰もが参画できる包摂的な金融エコシステムを構築した実行力は、シンガポールと同じく目を見張るものがある。

クレジットカードの普及を前提としてきた日本の決済環境も、見方を変えれば独自の進化を遂げる余地がある。ソルクシーズはこれまで、多様な決済・クレジットシステムの構築を通じて豊富なノウハウを培ってきた。この知見とインドネシアのダイナミズムを融合させ、日本市場に最適な新しい決済ソリューションを提供していきたい。

 

※当記事は、視察に参加したソルクシーズ社員(営業企画推進部 氷見吉史)のレポート記事です。

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