2024年6月にリクルートマネジメントソリューションズが発表した「新入社員意識調査2024」※によると、上司に期待することの1位は「相手の意見や考え方に耳を傾けること」。全体の50.3%を占めており、45.9%で2位となった「一人ひとりに対して丁寧に指導すること」とともに、他を大きく引き離しています。
3位の「よいこと・よい仕事をほめること」は33.9%、4位は「好き嫌いで判断しないこと」で33.5%となっています。5位の「職場の人間関係に気を配ること」は27.9%。ここまで見たところで、「仕事ができなくてもほめなきゃダメ?」「最近の若い社員はイヤな話を避けたがる」と思ったマネージャーもいるのではないでしょうか。
ご安心ください。7位の「言うべきことはいい、厳しく指導すること」は21.9%と、それなりの数字となっています。最近は、ホワハラ(ホワイトハラスメント)という言葉がよく聞かれるようになっており、過剰に配慮したり優しくしたりする上司のもとでは「成長できない」と、ネガティブに捉えるケースもあるようです。
さじ加減が難しい?いえ、多様性です。調査結果を見ると、昭和のニッポンでは当たり前だった「親はなくても子は育つ」式の放置型マネジメントが嫌われているのは間違いなく、最下位は「部下に仕事を任せること」で5.0%でした。「うまいことやっといて」はNG、というのが令和の常識です。
さて、ここからはソルクシーズの上司が登場します。この調査結果について、4人の管理職に率直な感想を聞いてみました。
「言うべきは言い、厳しく指導すること」のポイントが低いことに着目したのはAさん。「言い方に配慮は必要だけど、言うべきことは言わないといけない。どこからが『厳しい』と判断したらよいかが難しい」と言っています。
厳しいと感じるラインは相手によって変わるので、それこそ「丁寧に指導」していくなかで、「相手の考え方に耳を傾ける」しかないのでしょう。前述した調査結果で「ルール・マナーを守り、清廉潔白であること」が10%しかなかったことに驚いたというBさんは、「ルールそのものが昭和だからなのか。結構衝撃だった」とコメントしています。
全体を俯瞰してみると、「意見を聞く」「丁寧に指導」「ほめる」「好き嫌いで判断しない」「人間関係への配慮」といった人に接する姿勢に関する項目が上位に集中。その一方で、「情熱を持って取り組む」「厳しく指導」「リーダーシップ」「仕事がバリバリできる」「ルールを守る」「仕事を任せる」など、仕事に対する姿勢に関する項目が下位を占めています。
これについてCさんは、「コンプライアンスに厳しい風潮が、人間関係を大事にするのがいい上司、いい会社という価値観につながっているという面もあるのかもしれない」と指摘しています。管理職は、今まで以上にコミュニケーション力を求められているともいえるでしょう。
Dさんの分析は、「上司といえども協力し合うパートナーであり、仲間である」「承認欲求が強い印象」「感情を交えず正当に評価すれば、厳しいことでも素直に受け入れる」「根性論や熱血は時代遅れ」。昭和の部下たちが憧れた「カッコイイ背中」は響かず、個々に対する理解をベースにした穏やかでフェアな指導が必要とされているようです。
最近は何かと「コンプラ」「〇〇ハラ」といわれます。そんななかで、一人ひとりの部下に合わせたマネジメントするとなると悩みは尽きませんが、「信頼関係を築ければうまくいく」のは、お客様も自社の社員も同じです。
若手の理想にひたすらすり寄っても、「媚びハラ」などといわれるかもしれません。彼らの考え方とこれまでの自身のやり方を認識しつつ、ギャップを着実に埋めていければいいのではないでしょうか。
もしかして今、「簡単にいうな!」とおっしゃいました?好き嫌いで判断せず、丁寧に伝えさせていただいたのに厳しいですね。こちらの意見や考え方に耳を傾けて、ほめてください。
※データ出典:リクルートマネジメントソリューションズ「新入社員意識調査2024」https://www.recruit-ms.co.jp/news/pressrelease/0632561103/