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ITエンジニアのお仕事&キャリア

仕事で大事な「リレーション力」を高めるポイント

ITエンジニアのお仕事&キャリア

仕事ができる人の条件として、よくいわれるのがコミュニケーション能力。クライアントやチームメンバーなど、さまざまな立場の人と関わる機会が多いシステムエンジニアにとっても、コミュニケーション力は重要なスキルです。

ただし「初対面で感じのよい人」「ものおじせずにしゃべれる人」というだけでは、仕事における対人スキルとしては不十分でしょう。人脈の広さも重要ではあるものの、ただ知り合いが多いというだけでは、ビジネス上の具体的な成果にはつながりません。

仕事で必要なのは一過性の関係構築ではなく、長期的な信頼関係を築くこと。そのために必要なのが他者との安定的な関係性を構築・持続する「リレーション力」です。IT技術だけでなく、リレーション力があるシステムエンジニアの市場価値は高くなっています。

ネットワーク強化、マネジメント、営業で効果を発揮

ビジネスシーンでは、課題・トラブルなどが発生したとき、協力を求められる人脈があるか否かが非常に重要になります。リレーション力を発揮して、社内のメンバーやパートナーとのネットワークを強化しておけば、状況に応じて最適なリソースを動員することができるでしょう。

マネージャーやプロジェクトリーダーなら、リレーション力を活かしてチームワーク強化をはかることも可能です。部下との人間的な関係を築くことは、エンゲージメントを高め、チーム全体の生産性向上にもつながります。

また、リレーション力が効果を発揮する職種のひとつとして、営業職があります。

仕事を獲得するために、新規顧客を開拓し続けるのはコストとパワーがかかります。特に昨今は、マスメディアの広告効果が減少傾向にあり、広告運用の費用対効果は下降気味。インターネットでユーザーが簡単に情報収集できるようになったことや、価格競争の激化、ECサイト・オンライン商談の普及などにより、これまでの営業方法が通用しなくなっている現状もあります。

しかし、既存顧客との関係性を重視して厚い信頼を得られれば、継続的な受注につながり、営業の効率が格段に上がるでしょう。とりわけ決裁者との個人的なリレーションは、意思決定を大きく左右するポイントです。

一般に既存顧客への販促コストは、新規顧客を獲得するコストの5分の1とも言われています。また既存顧客は1回あたりに購入する商品・サービスが高額になりやすく、利益率が高くなる傾向にあります。

クライアントと深い人間関係を形成できれば、相手が抱えている悩み・ニーズなどの「本音」を引き出しやすくなり、新たな提案につながる可能性も高まるでしょう。ほかの顧客を紹介してもらえるケースも増えるかもしれません。

汎用性の高さもリレーション力の魅力。一度身につけばどの業界・現場でも活用できるため、ぜひ積極的なスキル獲得を目指しましょう。

リレーション力のベースは専門知識・スキル

では、リレーション力はどうすれば高めることができるでしょうか。継続的なリレーションを構築するうえで重要な要素は、「期待感」と「理解」です。

前者は、「自分たちのために何かをもたらしてくれる」と思わせること。後者は、「自分たちのことをわかってくれている」という信頼です。

期待感を醸成するうえで欠かせないのは、相手から求められている知識・スキルを持っていること。

専門性の高い知識・技術、特定の領域に関する経験・実績は、「プロフェッショナル」という印象を与え、この人の意見を聞いてみよう、と思わせる力になります。クライアントにとっての「信頼のおける情報源」になることができれば、接点の創出・増加にもつながるでしょう。

継続的に期待感を抱いてもらうためには、実際に「結果」を出すことも重要です。理想は、クライアントの期待をつねに上回ること。ハイクオリティな成果物や、付加価値をプラスしたサービスの提供、専門性を活かした新しい提案ができると、またこの人にお願いしたい、と感じてもらえます。

そのため、積極的に知識・経験を増やしたり、技術・ビジネススキルを磨いたりすることは、リレーション力の向上に直結します。

期待感を与えるアプローチとは?

ただし仕事のパフォーマンスだけに重点を置くと、クライアントとの関係はシビアになりがちです。つねに競合他社と比較され、より高い成果を出せる企業が現れれば乗り換えられてしまうでしょう。結果を出し続けるための負担も少なくはありません。

そのようなリスクを回避するためには、期待感を与えるほかのアプローチも同時に実施することが大切です。

たとえば、多くの顧客は結果だけでなく、結果に至るまでの「過程」も重視しています。スピーディーかつ丁寧なレスポンスや対応を心がけるだけでも、競合他社との差別化につながるでしょう。

もちろん、約束や納期を厳守することも大事です。「言動を一致させる」「手厚いアフターフォローを心がける」など、誠実な印象を与えられると信頼を獲得しやすくなります。

さらに、ポジティブかつフェアであることも必要な要素です。「自発性・行動力がある」「常に改善・提案」「他責ではなく自責」「事実ベースでオープンなコミュニケーション」である人は、他者に影響を与えることができる力…いわゆる「人間力」があるといえるでしょう。

このような人間力を示すことで、この人にまた仕事を頼みたい、と思ってもらうことができます。価値観や好みなどの個人差はあるものの、発言がネガティブで他責的・受動的な相手と一緒に仕事をしたい、と考える人は少数派です。

ビジネスとはいえ相手も人間。感情的な基準から判断がくだされる場面は珍しくありません。人間性の面で悪い印象や苦手意識を持たれてしまうと、どれだけ実力があっても敬遠されてしまう可能性があります。

リレーションを変える第一歩は「発言を変えること」

人間力は顧客だけでなく、チームメンバーやパートナー企業とのリレーションシップ形成にも必要です。人間としての魅力があり尊敬できる相手に、人は自然と引き寄せられるもの。結果として、優秀な人材が周囲に集まりやすくなるでしょう。

専門性や経験は、仕事を通じて高めることができますが、いわゆる人間力はすぐに身につけられるものではありません。しかし、今日から改善できることが実はあるのです。それは、「発言を変える」ことです。

自ら働きかける、人のせいにしない、事実を提示しながら説明する、自らの非を認めたうえで改善策や行動プランを明確にする…簡単なことではありませんが、期待感を高めるコミュニケーションに終始することができれば、リレーションは確実に変わるはずです。

特におすすめなのが、「このようなコミュニケーションは取らない」というNG例を、あらかじめリストアップしておくことです。

どれだけ時間をかけて積み重ねた信頼も、失われるのは一瞬です。不信感を与えるような発言・行動がなくなるだけでも、持続的な関係が構築しやすくなるでしょう。

自らの振る舞いに自覚的になることで、相手にとってマイナスに働きかねない言動をただちにリカバーできるのもメリットです。過ちを認めて改善しようとする姿勢は、信頼性の向上に寄与します。

相手を理解するためにやっておきたいこと

継続的なリレーションを構築するうえで、期待感と同様に重要なのが「理解」です。理解には、実際に相手のことを理解するという側面と、相手に「自分は理解されている」と感じてもらう面の2つがあります。

相手を理解することは、「期待に応えるための行動」「期待を上回るための行動」を実現するうえで重要です。

たとえば顧客との関係であれば、どのようなニーズを抱えているか、取引先に何を求めるか、仕事において何を重視するかはさまざま。顧客との認識・価値観にズレがあるために、良かれと思って取った行動が裏目に出てしまう可能性もあります。

しかし失敗を恐れて行動をしなければ、リレーションはなかなか深まっていかないでしょう。

そんなときに、「顧客が自分に期待しているものは何か」を理解していれば、「結果を重視する取引先にはプラスアルファの価値を提供する」「人間関係を重視する担当者には丁寧なコミュニケーションを心がける」など、ニーズに合わせてパフォーマンスややり取りを最適化することが可能です。結果として、能動的な働きかけにもつながりやすくなります。

顧客を理解する方法のひとつは観察です。仕事の進め方やコミュニケーションの取り方から、「どのような意図があるのか?」「何を大切にしているか?」「どのようなコミュニケーションが効果的か?」などの仮説を立ててみましょう。

最初は精度が低くても、さまざまな相手を観察するなかで、少しずつパターンが見えてくるはずです。自分なりのスタイルを確立できれば、新たに接する顧客に対しても、「あの人に似ているタイプかもしれない」と予測が立てやすくなります。

同僚や上司・部下、家族、友人を観察対象にするのもおすすめです。関係性のある相手なら、本人と答え合わせができるというプラス面があります。

ただし、単に顧客理解を深めるだけでは、その姿勢が必ずしも相手に伝わるとは限りません。より親密な関係性を形成するうえでは、顧客が主観的に「この人は自分を理解してくれている」と感じるような振る舞いも重要になってきます。

理解されていると思わせる「受信力」を高める行動とは?

期待感を醸成するのが「発信力」だとすれば、理解してもらえていると思わせるベースにあるのは「受信力」です。

まずは、相手の話を「傾聴」すること。「適切な質問・あいづちで話を促す」「反論・否定をしない」「相手の気持ちに共感する」という姿勢を心がけるだけでも、「尊重されている」「悩みに寄り添ってくれている」という印象を抱いてもらいやすくなります。

話の要点を押さえながら聞くことは特に重要です。「なるほど。こういうことが大事だというわけですね」といった、相手が最も伝えたい内容を確認する質問は、「わかっていると思ってもらえる」「話のポイントを理解できているかどうか、答え合わせができる」という2つの効果があります。

また、相手に意見を求めたり、積極的に質問をしたりすることも、興味関心を示すのに効果的です。自身の専門領域であっても、一方的に解決策を提示するのではなく、顧客の意見をまじえながら対話を進めるように心がけるのです。

どんな人でも、「あなたのためになりたい」「あなたを理解したい」といわれれば、悪い気はしないでしょう。相手の思いや考えを知ることで、より生産的な解決策が見えてくるケースもあります。対話をしながら一緒に結論を導き出したという体験には、信頼感を高める効果も期待できます。傾聴・対話の姿勢は、顧客や社外のパートナーはもちろん、社内のプロジェクトメンバーや上司・後輩に対しても有効です。

大切なのは味方であること。安心感をもたらすこと。

プレーヤーとしての能力が高いリーダーにありがちなのが、自らの「正論」「正解」に固執するあまり、相手の発言や行動を頭ごなしに批判・否定してしまうこと。そうすると「積極的な行動が抑制される」「考えたことを口にしづらくなる」など、心理的安全性が低下してしまいます。

あらゆる判断をトップダウンで指示してしまうのも問題でしょう。メンバーの自律性・能動性が損なわれることで、やりがいや内発的な動機づけがなくなり、エンゲージメントの低下にもつながりかねません。

ストレスフルな環境下では、メンバーやパートナーが十分なパフォーマンスが発揮できないばかりでなく、離職・離脱のリスクも高くなります。このような事態を回避するためにも、「相手の言葉に耳を傾ける」「要点を確認する」「質問を投げかける」といった受容的なコミュニケーションが大切です。

人間的なつながりを醸成するためには、いわゆる「雑談」も積極的に取り入れましょう。話題の自由度が高い雑談は、ビジネス上の対話と比べて互いの「共通点」や「共通の感情」を引き出しやすいのが特徴です。双方の仕事上の立場から一時的に離れたやり取りができるため、親身な会話にも発展しやすくなります。

大切なのは、敵対者・評価者としてではなく、あくまで「味方」として、メンバーやパートナーに向き合うこと。相手にとって安心感のある環境をつくりだすことで、この人についていきたい、と感じてもらえるようになります。

自分のことを理解してくれる・理解しようとしてくれる相手には、人は積極的に自己開示をしたくなるものです。結果としてコミュニケーションが活性化すれば、顧客やメンバーをより深く理解できるという好循環にもつながるでしょう。

リレーション力の根底にあるのは、好意、興味、関心といったポジティブなマインドが伝わることです。発信と受信が変われば、関係が変わります。ぜひ、トライしてみてください。

 

※この記事は2023年8月17日に公開した記事を再編集しています。

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