クラウドのエッジ化がもたらすメリットについて紹介する2回シリーズ。【前編】では、クラウドのエッジ化の概要をふまえた上で、パフォーマンスの向上について解説しました。
【後編】では引き続き、企業によるクラウドの管理・運用の観点から導入メリットを紹介していきます。
クラウドのエッジ化(分散クラウド)がもたらすメリットとして、パフォーマンス向上の次に挙げられるのは、コンプライアンスの確保がしやすいことです。
これまで、ロケーションを気にせずデータ保存が可能というクラウドの特性は、メリットのひとつとして語られていました。
しかし昨今、EUのGDPR(一般データ保護規則)のように、国・地域ごとにプライバシーを保護するデータローカライゼーション規制が拡大。EU加盟国に事業所を持つ日本企業は、非加盟国である自国に個人情報を持ち出せなくなっています。
世界的なガバナンスへの意識の高まりも相まって、ユーザーの個人情報などのデータをパブリッククラウドに配置できないケースが急増。こうなると、特定の地域にデータを配置したままにできる分散クラウドに注目が集まります。
規制強化がなされた際に、コンプライアンス確保がしやすい分散クラウドは、データ漏洩リスクも軽減されます。ステークホルダーからの信頼獲得や機密情報保護といった観点からも、安全性の高い環境を低コストで構築できるのは大きな魅力です。
3つめのメリットは、システムの一元管理です。従来、複数のクラウドを管理するマルチクラウドでは、ITインフラ間にどうしても差異が生まれてしまい、システム管理業務が煩雑になるという課題を抱えていました。
これに対して分散クラウドは、それぞれのクラウドサービスをそのまま活用しながら、環境間の差異を削減して一元管理することができます。「ガバナンス・コンプライアンス強化」「一元管理と運用の効率化」を同時に実現できるのも、エッジ化といわれる新たな設計思想のメリットです。
さらに、スケーラビリティの恩恵を受けることができるのも、分散クラウドが高評価を受けるポイントです。ユーザーの端末やIoTデバイスに近いところで運用するエッジ化・分散化が進むことによって、さまざまなクラウドを低遅延の環境で利用できるようになります。システム構築や新たなクラウドの導入も、個別のロケーションで展開できるようになるので、低コストの開発・運用が可能になります。
超高速・大容量・低遅延を強みとする5Gとの連携が進めば、バーチャルリアリティ(VR)や拡張現実(AR)などを用いたサービスも急速に浸透していくでしょう。
このように企業のクラウド運用にさまざまなメリットをもたらすクラウドのエッジ化。IoTやAI、5Gが進化し、新たなサービスが浸透していくにつれて、今後もさらにニーズが高まっていくはずです。
「Fleekdrive」「HYBRID杯王on Cloud」といったクラウドサービスや、IoTを活用した見守り支援システム「いまイルモ」を展開しているソルクシーズグループも、新たな技術を用いたサービス改革やバージョンアップを領域ごとに検討しています。今後も、より使いやすくなったサービス情報を随時リリースしていきますので、ぜひご注目ください。