シンガポール商工会議所(JCCI Singapore)の月報に、現地に常駐しているソルクシーズのリージョナルマネージャー、高橋湧熙さんがレポートを寄稿しました。
●シンガポール日本商工会議所機関紙「月報2021年7月号」(許可を得て該当部のみ抜粋閲覧)
2021年7月に掲載された記事のタイトルは「テクノロジーファーストではなく、ヒューマンファースト」。企業のデジタル化推進やグローバル競争における優位性をテーマとして、デジタルトランスフォーメーション(DX)の重要性・現状の課題・進めるべき施策などが網羅的にレポートされています。
今回は、日本企業がDXのスタート地点に立つために実施すべき取り組みを中心に、レポートの一部をピックアップして紹介します。
そもそもDXが日本で注目されたきっかけは、2018年に経済産業省が公開した「DXレポート」でした。DXが進まなければ「2025年以降、最大年間12兆円の経済損失が生じる可能性がある」と、その重要性が語られています。
2019年に指標として策定された「DX推進指標」には、最終ゴールとして「デジタル企業として、グローバル競争を勝ち抜くことのできるレベル」が掲げられています。国際的な競争力の獲得は、今もなお日本企業の大きな課題です。
世界に先駆けて情報システム化を推進してきたはずの日本は、システムが複雑化・老朽化しており、多くの企業が総合的に管理しづらくなっているのが現状です。
高橋さんのレポートには、DXのスタート地点に立つための考え方と今後の方向性が示されています。着実に走り出すためには、現行のビジネスを見直して利益率が低い領域を排除するなど、既存の業務形態に囚われない施策が必要になると提言しています。
クラウドストレージやSaaSを利用するなど、業務環境のオンライン化・スリム化も不可欠。自前主義から脱却することで、人材・予算・時間を新ビジネスに投入できるといいます。
さらに日本企業のIT投資の課題として挙げられているのが、ビジョンと戦略の不足です。
ビジョンやゴールが定まっていない、テクノロジー起点の取り組みは、単なる業務改善・効率化に終始してしまう可能性が高そうです。アメリカではITによる製品・サービスの開発に重点が置かれており、日本企業に特徴的な「守りのIT投資」とは一線を画します。
重要なのは、ビジネスの源泉がデジタル空間にシフトしたという認識を持つこと。顧客視点でどのような価値を創出できるか、常にビジネス起点で考えることでDXの第一歩が踏み出せるのです。
明確な軸ができたら次に行うべきは、経営者自らが変革の必要性を伝えたり、DX推進部隊を設置したりと、社員一人ひとりに腹落ちしてもらう取り組みになります。
さらには「スピーディーなトライ&エラーの繰り返しを許す」「社員が多様な価値観にふれる機会を創出する」など、DX推進に適した企業文化の醸成も重要です。
取り組みの例として挙げられているのは、ベンチャーキャピタル的な部門の設立。社内向けの投資ラウンドの仕組みを用意すれば、部署・部門の垣根を超えた有志チームが新たなアイデアやサービスを生みだす契機となるかもしれません。
加えてDX人材に対する評価制度の確立も重要でしょう。古い評価体制のままではDX人材が適切に評価されず、離職の原因になりかねません。
ここまでやって、ようやくスタート地点。ダイエットでいえば、目標を決めてランニングウェアやシューズなどを買い揃えたところです。高橋さんのレポートを読むと、withコロナの時代におけるデジタルトランスフォーメーションの重要性と、そこに携わるメンバーの「人間力」がいかに大事かを痛感させられます。
「ゴールイメージ」「連携」「巻き込み」…新たなビジネスモデルの構築や業務の効率化をスピーディーに進めていくためには、明快に方向性を指し示し、行動できる人材が必要です。
ソルクシーズも、DXを自ら推進し、顧客に提案していく企業のひとつです。DXに必要な知識・技術・推進手法を身に付けて活躍したい方に加わっていただき、新たなサービス開発を進めていければと考えています。興味がある方は、キャリア採用サイトをご覧ください。