クラウドファンディングという仕組みが、日本で話題になり始めたのは2011年。3月に東日本大震災があり、被災地を支援するべくさまざまな募金活動が展開された年です。
以来、10年。当初は、見返りを求めない寄付型や、特典を享受できる購入型のクラウドファンディングが主流でしたが、近年は利益を分配するファンド型や、出資者の資産運用の手段にもなる貸付型など、金融型といわれる分野が拡大しています。
そんななかで、コロナウイルス感染拡大以降も注目を集めているのが株式投資型のクラウドファンディングです。出資者が見返りとして未上場企業の未公開株式を受け取る仕組みで、日本では2015年5月の金融商品取引法改正をきっかけに解禁となりました。
株式投資型クラウドファンディングの魅力は、今後拡大してほしいサービスを展開している企業に出資することができることと、株式公開や事業売却が行われた場合に大きなリターンを得られる可能性があることです。
日本のベンチャー企業は、個人投資家からの資金調達が少なく、自己資本と創業融資などに依存している現状があります。
これに対して、「エンジェル」といわれる投資家が多いアメリカは、個人投資家の支援を受けるのが当たり前となっており、IT・インターネット系を中心に多様なベンチャーが急成長を遂げています。
日本の株式投資型クラウドファンディングを取り扱うプラットフォームの運営企業は、「イノベーションを起こす企業を育成するためには、個人からの投資の増加が不可欠」と言っており、新規参入企業によるプラットフォームサービスの認知度向上が見込まれることから、マーケットは活性化していくと考えられています。
ではなぜ、株式投資型がコロナ禍以降に注目度が高まるといわれているのでしょうか。最大の理由は、新経済連盟が政府に対して規制緩和を提言しているから。
現在は、投資家のリスクを勘案して、「個人がひとつの企業に投資できる上限は50万円」「1社が1年間で調達できる資金は1億円未満」という規制があるのですが、これらが緩和されれば、マーケットは急速に拡大すると見られています。
もうひとつの理由は「今後急速に拡大していく事業領域への投資が増え始めている」からです。株式投資型で資金調達を実施した企業は、デジタルトランスフォーメーション、IoT、AI、ロボティクスなど市場が拡大している分野が多く、成功事例が蓄積されれば、トライする企業も増えていくはずです。
最先端技術を武器に成長するベンチャー企業が増えれば、エンジニアにとってのキャリアの選択肢も広がっていくでしょう。
新サービスの立ち上げやベンチャー企業の起業に参加するなど、自身の活動エリアを広げることも見えてきます。エンジニアの意識が変わることで、日本のIT業界は急激に進化していくのではないでしょうか。
新たな領域の技術を身に付け、キャリアアップを図りたいエンジニアは、早く行動に移したほうがいいでしょう。忙しい?それどころじゃない?わかります。わかりますけど…。