ソルクシーズグループのエクスモーションが提供する「Eureka Box(ユーリカボックス)」をご存じでしょうか。要求記述(USDM)やモデルベース開発(MBD)、ソフトウェアプロダクトライン(SPL)、システムズエンジニアリングなど、ソフトウェア開発の技術と知識を習得できるeラーニングサービスです。
最大の特徴は、自動車業界や音響機器・医療機器などのメーカーで開発現場の改善を推進するコンサルタントが、ノウハウや事例を提供していること。ベーシックな技術・知識だけでなく、要件定義から開発、検証まで現場ですぐに活用できる実践的なコンテンツを揃えています。
学習・演習のコンテンツに加えて、ソフトウェア開発の多様な業務を効率化するツールまで使えると評価されていた「Eureka Box」は、2025年になってから続々と新たなサービスをリリースしています。株式会社電通総研との連携によって3月にスタートした「エンタープライズ版」は、自動車業界や家電業界、製造業の大手企業がアカウント数無制限で利用できるパッケージです。
さらに5月には、「Eureka Box」での学習中の疑問や業務上の課題をAIに質問できるチャットサポート「開発ナビAI 」、現場経験が豊富なコンサルタントとやりとりできる「開発よろず相談」を同時にリリース。「開発よろず相談」は、わからないことを気軽に相談できるTeamsチャットと、定期的なオンラインミーティングをそれぞれ使うことができます。
「Eureka Box」が新機能・新サービスをスピーディーに提供し始めたのはなぜなのか?4月からサービス全体の責任者となったコンサルタントの松井良太さんに、背景や狙いを聞いてみました。「エンタープライズ版」の背景にあるのは、ソフトウェア開発ニーズの急速な拡大とエンジニアの不足です。
AIやIoT、クラウド、5Gなどの進化に伴い、電気自動車(EV)、自動運転、スマート家電など、さまざまな領域で技術革新が加速しており、ソフトウェアの重要度が急激に高まっています。製造業の大手にとっては、ソフトウェア開発人材の強化は喫緊の課題です。
「アカウント単位で利用料が発生する『Eureka Box』を、200人~300人規模の組織で利用するとなると、かなり費用がかかります。エンタープライズ版はアカウント無制限で利用できるので、全社教育や組織横断の中堅社員の集合研修などで使いやすくなります。人事や教育関連の部署のご担当者に、さまざまなパターンで活用していただけるサービスです」(松井さん)
自らがサービスに関わる立場になる前から、「Eureka Box」のコンセプトや果たすべき役割をメンバーと議論してきたという松井さんは、チャットやミーティングなどのサービスについては「実践のサポートまでコミットする包括的なサービスへの転換」と位置付けています。
「今までの『Eureka Box』は、現場を知っているコンサルタントが知識や技術を提供しているというのが強みでした。でも、ソフトウェア開発エンジニアを育成するという目的から考えると、ひととおり学習しただけで技術者は育つのかという問題に直面しました。学習しましょう、演習問題もあります、あとは自分でがんばってというだけでは、厳しいんじゃないか、と」
「これからはオンライン学習に留まらず、実践のサポートまでコミットするサービスにしていきたいと考えています。『Eureka Box』の効果的な活用についての相談や、人材育成に関する課題解決の支援を目的としたオンラインミーティングは、今までも実施しているお客様はあったのですが、今後は積極的に利用促進をしていきます」
エクスモーションは、2024年11月に生成AI を活用した要件定義支援サービス「CoBrain(コブレイン)」をリリースしています。自社のコンサルタントやエンジニアが蓄積したノウハウを用いて、要件定義書や要求仕様書をAIが添削する技術は、「Eureka Box」の進化に応用される可能性があります。
「今後展開していく『Eureka Box』の実践サポートのなかで、『CoBrain』とうまく連携していく可能性もあります。あるいは『Eureka Box』として、独自の生成AIサービスを開発することになるかもしれません」
コンテンツの充実化を図りつつ、「Eureka Box」の価値を世に知らしめる施策にも注力していきたいという松井さん。ソフトウェア開発人材のレベルアップを図りたい方、新たなサービスや機能に興味がある方は、「Eureka Box」の公式サイトをご覧ください。