最先端の技術を駆使して新しい価値を創り上げるIT系職種を紹介する本企画、VRエンジニア、AIエンジニア、IoTエンジニアに続く最終回は「音声認識エンジニア」です。
音声認識技術自体は、カーナビが普及した時代から存在していましたが、「OK, google!」「アレクサ」「Hey Siri!」等の呼びかけで利用する最新のサービスは、ユーザーの指示や質問に応じて適切な答えを返してくれます。
IDC JAPANによると、音声AIを活用したサービスは、今後急速に拡大していくとのこと。テキストベースのサービスが多かったチャットボットは、音声へのシフトが進むと予測しています。
2018年7月にガートナーが発表した「ハイプサイクルレポート」でも、「音声認識は2年以内に広く普及する見通し。一般消費者や企業の社員が、キーボードに触らずにアプリケーションを操作するシーンが増える」と紹介されています。
Googleやアマゾンの音声検索は、聞き取りがうまくいかないことが多く、音声認識を伴うサービスは技術的にもマーケット観点でも発展途上。
音声そのものの解析だけでなく、感情や要求の強さなどを判別できるようになれば、コールセンターの業務代行や各種予約システムなど、人間が窓口を務めていた業務が一気に変わる可能性があります。
音声認識エンジニアをめざすなら、機械学習、ディープラーニング、データ解析などの知識や活用ノウハウを習得する必要があります。
「ごめんなさい」という言葉ひとつとっても、人によって発音の仕方が違い、ふてくされている時と心から謝っている時ではトーンやアクセントが変わります。無尽蔵にある話し方のパターンを統計的に処理し、伝えた人間が求めていることを判別できるようにするためには、音声認識のメカニズムを理解しなければなりません。
音声認識システムの構築でよく使われている言語が「Python」です。人間が行うロジカルシンキングに近い構造を持つプログラミング言語で、文字量が少なく読みやすいソースが書けることもあって、AIの領域で注目を集めています。
音声認識の仕組みに詳しく、開発するための言語をマスターしているエンジニアは、音声認識を用いたサービスを展開したい企業から引く手あまたとなるでしょう。
VR、AI、IoT、音声認識。最新の技術で勝負するエンジニアに必要な技術や今後の需要の見通しについて、4回に渡って紹介してきましたが、共通しているのは「身につけなければならない知識・技術の範囲が広い」ことです。
言語やソフトを使いこなすだけではなく、それぞれの分野のメカニズムを理解する必要があり、数学や統計学、関連する技術をひととおり身につけなければなりません。
ハードルが高い反面、それぞれの領域に精通したエンジニアになれれば、今までなかったサービスを開発する醍醐味があります。
興味がある方は、まずは技術・サービスに関するニュースやレポートに目を通してみてはいかがでしょうか。技術者が足りないといわれている今がチャンスなのは間違いありません。