製造・物流・輸送をはじめ、さまざまな業界に大きな変化をもたらす可能性のあるIIoTは、最近になって注目を集めている領域のひとつです。
試しにGoogleの検索ボックスで「IIoT」と入力してみると、ボックス下部に表示される検索候補には「いい音」「いい男」「いい大人達」…。入力途中だと思われたのですね。いえ。「IIoT」で間違いありません。
さて、ここからが本題です。IIoTとは、「モノのインターネット」であるIoT(Internet of Things)に、「産業」を意味するindustrialの頭文字を加えた「産業分野に特化したモノのインターネット」を指す言葉です。
家電、住設機器や自動車などをインターネットに接続する商品が多いIoTに対して、IIoTの主流は工場やオフィスで使われる機械や設備とインターネットをつなぐシステムです。センサーで音や振動などのデータを取得し、カメラで周辺の状況を撮影することによって、それぞれの機器やスペースに異変がないかを検知することができるというわけです。
IIoTデバイスにより膨大なデータの収集・蓄積・分析が可能になれば、生産活動を効率化したり、不良品を減らしたり、生産管理を自動化したりすることができます。サービスの上流から下流までデータを揃えれば、サプライチェーン(製品の部品調達から消費までの一連の流れ)をすべて可視化することもできます。
人財配置の最適化、無駄なプロセスの発見、事故防止、消費者のニーズに合致した生産活動など、IIoTの活用で実現できることは多岐に渡ります。
最近は「サービタイゼーション」という、IIoTを用いた新たなビジネスモデルも誕生しています。これは今まで「商品」として販売していたものを「サービス」として提供するビジネスモデルです。
ロールスロイス社の「Power by the Hour」は、航空機エンジンに取り付けたセンサーから稼働時間・出力量などの情報を収集して、利用分の料金を課金していくというサービス。これによってユーザーは高額な航空機エンジンを安価に利用できるようになります。
このように、IIoTの活用法は多様化しており、現在は世界各国で政府主導あるいは企業による導入が進んでいます。
ドイツでは第4次産業革命として、国内の企業がIoT化に取り組む「インダストリー4.0」をいち早く打ち出しました。IBMやインテルなどアメリカのグローバル企業が推進する「インダストリアル・インターネット・コンソーシアム」には、ヨーロッパや日本から200社以上が参加し、研究開発などで連携を図っています。中国でも5GやAIの技術を駆使して、物流工程の最適化をはかる動きが活発化しています。
これらの動きに呼応して、日本で経済産業省主導のもとに取り組まれているプロジェクトが「Connected Industries」です。
「自動走行・モビリティサービス」や「ものづくり・ロボティクス」など5つの重点取組分野に集中的に資源を投下。製造業や物流事業者から収集したデータをリアルタイムに活用して、効率のいいサービス提供を実現しようとする「スマート物流」など、積極的にIIoTの導入を推進中です。
続く後編では、IIoTの未来について掘り下げて解説したうえで、ソルクシーズグループの取り組みについても詳しく紹介していきます。