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ITトレンドレポート

2030年、6Gの登場で世の中はどう変わる?

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2030年に登場するといわれるBeyond 5G、通称「6G」は、「5Gの性能がさらに進化する」「これまでとは異質な技術革新を可能にする」など、大きな期待が寄せられている次世代移動通信システムの総称です。

現在は世界中で、開発競争が激化しています。日本でも2022年に総務省が研究開発戦略を提示し、国費を集中投下した取り組みがスタートしました。

スゴさばかりが語られる6Gですが、「5Gと具体的にナニが違うのか」「6Gで世の中はどう変わるのか」など、今ひとつイメージがつかめないという人も多いのではないでしょうか。今回は、6Gだからこそ実現できることを紹介していきます。

前提として、開発段階にある6Gにはいまのところ全世界共通の定義・規格があるわけではありません。将来的な通信ニーズに対応するために国や民間企業が研究開発を進めている通信システムが、暫定的に「Beyond 5G」「6G」と呼ばれています。

総務省は2023年の報告書で、世界市場をリードするための「目指すべきBeyond 5G(6G)ネットワークの姿」を掲げました。

この報告書では、6Gが従来の通信規格(1G〜5G)とは一線を画する技術・システムである点を強調。有線・無線、光・電波、陸・海・空・宇宙に加え、データセンター、デバイス、端末なども包括した統合的な「ネットワーク全体」として捉えることが重要と説明しています。

このようなネットワーク像を可能にするのが、6Gの到達目標のひとつに掲げられている「超カバレッジ拡張」です。

宇宙に近い成層圏から通信サービスを提供する「HAPS」や、人工衛星を活用した「衛星ブロードバンド」といった「非地上系ネットワーク」がエリアの拡大に寄与。陸上だけでなく海上・空を含めた国土の100%と、高度1万メートルの宇宙空間に、通信用の電波を届けることが可能になります。

さらに、「超高速・大容量」の6Gでは、5Gの最大20Gbpsを大きく超える100G〜1Tbpsの通信が実現するといわれています。「超低遅延」により、通信遅延も0.1ミリ秒程度と5Gの10分の1に。リアルタイムで膨大な量のデータを伝送することが可能です。

通信障害が発生しづらい「超安全・高信頼」の通信も6Gの特徴。信頼度は99.99999%が目標値となっており、光を波長ごとに分割・使用することで高レベルのセキュリティが可能になるとされています。

同時接続数は1平方キロメートルあたり約1000万台と、4Gの100倍、5Gの10倍の「超多接続」です。イベント会場やスタジアムといったアクセスが集中しやすいスポットでも安定した通信が可能になるでしょう。

AI技術を活用した「自律性」も6Gの特徴で、機器の連携やネットワーク構築の自動化・最適化を実現できます。通信費用の「超低コスト」と「超低消費電力」も6Gで掲げられている目標のひとつです。利用者と環境への負担が低くなれば、通信技術の持続可能性はさらに高まるでしょう。

これらの特徴を備えた6Gが実現すれば、大量のセンサー・カメラ・機器・ロボットなどをタイムラグがほとんどない状態で安全に制御できるようになります。

このIoTの技術にAIを組み合わせることで、製造業・農業・物流業・建設業など、幅広い分野で業務の自動化をはかることが可能。製品・作物などの生産状況や品質に関するデータの管理・分析もシームレスに実施できるため、品質向上・業務効率化・コスト削減などの効果を期待できるでしょう。

自動運転の領域では、複数のセンサーが周囲の情報をリアルタイムで取得・解析して、無人タクシーや無人トラックといった無人車両の運用を実現できるかもしれません。管理範囲を都市や道路全体に広げることで、安全かつスムーズな交通網にもつながります。

労働力が不足している地域の産業・サービス・交通システムを維持するなど、社会課題の解決や地方創生に6Gは大きく貢献します。医療機関で導入すれば、手術用ロボットの遠隔操作によってあらゆる地域で技術力の高い医師の手術を受けることもできます。

VR・ARやメタバースの体験性も、大量の情報を超高速処理できる6Gを活用すればより臨場感のあるものになるでしょう。

触覚や嗅覚・味覚を含む五感の情報を、サイバー空間を通じて再現する技術の開発も進んでおり、離れた場所にいる相手とより対面に近い形でコミュニケーションを取ったり、自宅にいながら旅行やスポーツなどをリアルに体験したりすることが可能です。医療手技シミュレーションや業務体験など、教育分野への応用も期待されています。

自動ワイヤレス充電も注目度の高いソリューションのひとつです。6Gの通信エリアに入るとモバイル端末やウェアラブル端末などが自動で充電されるため、あらゆるデバイスの利便性が大幅に向上します。

6Gが登場するといわれている2030年まで、あと5年。ビジネスのあり方やライフスタイルも、大きく変わっていくでしょう。システムエンジニアのなかには、6Gによる変化を見越してキャリアプランを考えている人もいるかもしれません。特定業界のサービス構築のノウハウがあるエンジニアや、XRに精通した人材はチャンスが広がるはずです。

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