クラウドやWebサイトの制作・管理サービスが進化するなかで、サーバーも多様化が進んでいます。顧客のシステムの保守やサイト運用に携わりながらも、最新情報を追いきれていないという人も多いのではないでしょうか。
今回は【前編】【後編】の2回にわたり、サーバーの種類やトレンド、最新トピックスについて詳しく解説していきます。まずはあらためて、主要なサーバーの種類を用途別に整理しておきましょう。
・Webサイトを表示するWebサーバー
・WebサイトにアクセスするためのDNSサーバー
・メールの送受信に必要なメールサーバー
・データの共有・使用を行うファイルサーバー
・データベースを参照するDBサーバー
・プログラムを動作させるアプリケーションサーバー
・サーバーとファイルの送受信をするFTPサーバー
サーバーの設置環境は、「物理サーバー」「仮想サーバー」の2種類に大別されます。物理サーバーはその名の通り、物理的に存在するサーバーがそれぞれの用途に応じて機能している状態です。
対して仮想サーバーは、1台の物理サーバーを複数の仮想的なサーバーに分割して稼働させる仕組みです。一軒家とマンションのような違いがあります。複数のユーザーが共有するクラウドサーバーは、仮想サーバーの代表例といえるでしょう。
もともと企業のサーバーは、自社にネットワーク機器やサーバーを収納するデータセンターを設置してシステムを運用する「オンプレミス」が主流でした。
しかし昨今は、クラウドの普及により、外部のサーバーを利用するケースが増加しています。クラウドサーバーなら物理的なスペースが不要なうえに、運用に必要なコスト・人員を大幅に削減でき、より手軽かつ柔軟に最適なサーバー環境を構築することが可能です。
DX推進が活発になってからは、クラウドサービスを活用しつつも、基幹システムや機密情報の管理などに堅牢なオンプレミスを取り入れる「ハイブリッドクラウド」を採用する企業が増えてきています。
さらに現在、ニーズが急増しているのが、プログラム実行の設定やソフトウェアのインストールといった作業を行うことなく、機能や処理内容そのものの管理だけに集中できる「サーバーレス」のサービスです。
サーバーレスの大きな特徴のひとつは、リクエストを受信したときにだけプログラムが起動する「イベントドリブン方式」。サーバーの稼働時間に伴って課金される従来のクラウドサーバーに対して、サーバーレスの料金体系では、プログラムの実行回数・時間に応じた従量制課金が採用されているため、より低コストで運用できます。
もちろんサーバーレスといっても、ベンダーが運用するデータセンターを活用しているため、物理的なサーバーが存在しないわけではありません。
現在は急速なデジタル化の進展により、データセンターのエネルギー消費量が増加しており、環境への負荷が問題視されています。
これをふまえて、効率的な冷却システムや省エネルギーの設計、再生可能エネルギーの活用などにより、環境負荷を軽減する「グリーンデータセンター」の取り組みが普及。社会全体にサステナビリティへの意識が高まっているなかで、グリーンデータセンターの利用は、企業価値の向上に寄与する施策のひとつといえるでしょう。
サーバーの進化に伴い、さまざまな条件を考慮して最適な選択を行うことの重要性が高まってきました。続く【後編】では、サーバー環境の構築に役立つ最新トピックスを紹介していきます。