新卒採用の面接でも、中途採用の募集要項でも、パートナーへの発注でもプロジェクトマネジメントでも、「コミュニケーションスキルが大事」といわれます。
わかってはいるものの、なかなかうまくいかないとストレスを溜めたり、諦めたりしている人が多いのではないでしょうか。
そもそも、コミュニケーションが上手といわれている人は、何ができるのでしょうか。
あなたが出会った人のなかで、「素晴らしい」と感じた人を思い出してみてください。例えば、自己紹介がおもしろい人。あるいは、話し出すとついみんなが耳を傾けてしまう人、、、。そう、話し始めた瞬間からうまいのです。
その後の展開を期待させる「つかみ上手」。話のテーマや前提条件を簡潔に伝える「前置き上手」。最初におもしろそうと思えば、最後まで聞いてしまいます。どんな話なのかが最初にわかれば、安心して聞くことができます。
相手が聞いてくれる体勢になったところで、コミュニケーション上手は次のワザを繰り出してきます。知らないことを、知っていることに置き換えてくれるのが「たとえ上手」です。
将棋の藤井七段※ の素晴らしさをスポーツが好きな人に伝えるなら、「将棋界のイチロー。どんな手を指されても対応できる」。大きさを伝えるときには、「500ミリのペットボトルぐらい」。東京ドーム〇個分は、混乱させるだけなのでやめましょう。
(※この記事を公開した日の午後、王位戦を制して八段になりました!)
自分の好みや尺度で話すより、相手の常識や嗜好に乗っかったほうが伝わるとわかっているのです。
コミュニケーション上手は、質問をするのもされるのも得意です。
「なんでそんなにおしゃれなんですか?」は、気持ちいいけど答えにくい質問。「服を買うときに、どこをチェックしてます?」と聞けば、具体的な答えが返ってきます。
話を整理したいときは、明快にイエス・ノーで答えられる問いを用意し、中身を掘り下げたいときは、箇条書きで返しやすい聞き方ができるようになれば、あなたも立派な「質問上手」です。
相手の答えをそのまま受け取らず、背景や気分を読み取って理解するのが「汲み取り上手」。お客様からクレームをいただいた際に、「ニーズを理解するチャンス」と捉えられる営業マンは、次のプレゼンの機会に的確な提案ができるのではないでしょうか。
コミュニケーションに長けた人は、総じてポジティブ思考です。あなたの知り合いにも、「盛り上げ上手」がいるのでは?
「その映画のどこがおもしろいの?」などと詰問調でいわれると、「ダメですか…?」とテンションが下がってしまいそうですが、「あなたの映画評をいつも参考にしているんだけど…」と乗せられると、余計なことまでしゃべってしまうかもしれません。
つかみ上手、前置き上手、たとえ上手、質問上手、汲み取り上手、盛り上げ上手。
こうして並べてみると、話を聞きたくなる人や相談したくなる人は、相手の受け取りやすさや返しやすさを考え、臨機応変に対応できるマッサージ師のような存在であることがよくわかります。
例えを使って、「まとめ上手」をめざしたのですが、いかがでしょうか。
以上、7つの「○○上手」を意識しながら、言葉のやりとりを愉しみましょう。