ソルクシーズグループで働くみなさんは、どんな思いで新しい商品やシステムを世に送り出そうとしているのでしょうか?
彼らの仕事ぶりに迫る「開発ストーリー」第1回は、株式会社ノイマンで、基礎学力を向上させるeラーニング「KOJIRO」と、就職試験対策の学習ツール「KOJIRO-SPI」の開発に携わったAさんから話を聞きました。
「KOJIRO」立ち上げの際に、商品企画担当として入社したAさんの役割は、利用するユーザーの声を開発担当のシステムエンジニアに伝えて、機能や使い勝手のよさを向上させること。
自社の開発チームのパワー、コスト、スピードを把握しながら、的確な改善プランを作ってスムーズに開発を進められるようにするのが最大のミッションです。
Aさんが入社したのは、「KOJIRO」がリリースされる2ヵ月前。商品・サービスの仕様を理解するのが精一杯だった日々が過ぎ、「KOJIRO」が無事に世に出ると、集まってきたユーザーからの要望を整理して開発チームと検討する仕事が始まりました。
「最初は、何でこんなにいろいろなオーダーが来るのだろうと戸惑いました」。いい商品に育てたい、重要なことから着手したい、余計なコストはかけたくない。メンバーの思いは同じですが、いざ具体的なプランにするとなると大変です。
「小中学生の利用を想定した学習システムなのですが、あるとき大学生に使わせたいという話があってシステムを改修しました。ところがいざ立ち上げてみると、小中学生とは利用するスピードが格段に違うことが判明。ログデータが大量に増えてサーバを圧迫し始めたときは焦りました」
全国に「KOJIRO」を販売する代理店の営業担当者に要望への対応について叱られて、悔し涙を流したこともありましたが、導入している学校の先生方が真摯に教育効果を検証してくれているのを知ると、早くバージョンアップしなければと気持ちが引き締まります。
2013年のリリース後、最初の1年で150に及ぶ改修を実施し、2年めにも30件に対応しています。
「いただいたご要望はすべてシステムに反映すべきか検討しています。やらないほうがいいと判断したものについては、お客様と直接話して理解していただくようにしました。開発のメンバーから『その要望に対応する必要があるのか』といわれることもあるのですが、お客様の利用場面を説明し、改善の意図を具体的に話し合うと、確かにそれは改善したほうがいいと納得してくれます」
たとえば、学習中の効果音。当初、音は入れていなかったのですが、先生から「子供たちが楽しく学べるので入れてほしい」と要望がありました。
企画担当としては入れてあげたいと思いつつ、システムに負荷がかかるため、改修には慎重な判断が必要でした。最終的には効果音を入れることになり、いざバージョンアップしてみると、想像していなかった効果がありました。
「指導している先生から、音を聞くと『今、あの子が取り組んでいる』とわかって便利、という意見がありました。これだけさまざまな改善を重ねてきても、やってみなければわからないことがまだまだあるんだなと実感しました」
改修をするかどうかを判断する際に大事にしているのは、「学習効果を高められるかどうか」。ゲーム性を高めたほうが子どもたちが喜ぶのではないかと考えたこともありましたが、「KOJIRO」はあくまでも学習システム。楽しませたいならゲームを作るべきと考え、教育効果にこだわって商品を育てています。
今年4月には、就職活動時に受験が求められることが多い「SPIテスト」のための基礎学力をチェックできる「KOJIRO-SPI」をリリース。機能や使いやすさの向上に取り組む姿勢は「KOJIRO」を立ち上げたときと変わりません。
「SPIでいいスコアを出すためだけでなく、今まで学んできたことを棚卸しして、自分の力と弱点を把握するためにも利用してもらえるとうれしいですね。大学で高等教育を受ける直前の高校生に、おさらいを兼ねてチャレンジしていただくのもいいのではないかと思います」
ずっと誰かに使われて、もっとよくしてほしいといわれ続ける「完成しない商品」の開発こそが、最高の仕事なのかもしれません。「KOJIRO」の開発ストーリーは、新たな商品の開発・リリースという第2章の幕を開けました。