【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事や自らの体験を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。
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「わったし、トゥントゥントゥンサフールにこいしてーるー♪」
当家のチビ達が楽しそうに口ずさむ謎の歌がおれの脳内でエンドレスリピートされている。
気が触れたわけではなさそうだが、ずいぶん楽しそうだ。
一体これは何の歌で、わたしさんが恋しているトゥントゥントゥンサフールさんは何者なのだろう。
妻に事情聴取してみる。
・変なキャラクターが動画で歌っているがよくわからん
・トゥントゥントゥンサフール以外にもキャラクターはたくさんいるがよくわからん
・よくわからん
自分もご機嫌で口ずさんでいるわりにはなにも分かっていないようだ。
続けて上のチビ(10歳)に直撃インタビューしてみる。
・ゲームに出て来るキャラクターで、歌っている動画がたくさんある
・みんな知ってる
・ゲームにも出て来るが、ゲームはFortniteだがFortniteではない
・トゥントゥントゥンサフールはバット
・カプチーノアサシーノの方が好き

ふむ。
10歳らしい回答だが要するにこういうことらしい。
・トゥントゥントゥンサフールはFortniteのメタバース基盤に登録されたあるゲームに登場するキャラクター
・バットがモチーフになっている
・他にも多数のキャラクターがいる
・動画はTiktokなど短尺のものが多数上がっている
いい加減自分で調べてみると、トゥントゥントゥンサフールを始めとしたキャラクターは生成AIで作成されており、イタリア風の名前を付けられ、「イタリアンブレインロット(Italian Brainrot)」と呼ばれているようだ。
何かと何かを合成したキャラクターであることが多く、例えば前述のカプチーノアサシーノはコーヒーカップとアサシンの合成キャラクターである。
これが今年に入って世界各国の子供たちの間で激流行りしており、AI音声も合成されてTiktokやYoutubeショート界隈を席巻。
夏過ぎにはROBLOXやFortniteのメタバース基盤でゲーム化され、コンテンツとして多様化、成熟化しつつあり、知らないのは大人だけ(笑)、という状況だということが分かった。
一般にアルファ世代と呼ばれる現代の子供たちは、赤ちゃんのころからスマホやYoutubeに触れて育ったシン・デジタルネイティブであり、行間を読ませるような国語の教科書に対しては拒否感が強く、動画等による短時間のざっくりした情報取得が得意と言われている。
AIにより作成されたインスタントなキャラクターが、10秒程度の短尺で意味不明な歌を歌っているハイテンション動画が大流行りしていることは、アルファ世代の特徴と合致している。
当家のチビ達は、本はおろか漫画ですら全く読まない。
受験や大人になって困らないよう最低限の読み書きは必要だと思うが、本も漫画もオールドコンテンツとなるとすれば、文章に触れないことを心配するおれのような昭和おじさんの感覚こそが古いのだろう。
前述したような短尺動画で当たり前のAI音声について、おれはイントネーションの棒読み感に違和感を覚えてストレスを感じてしまうが、彼らは全く気にならないようである。
それが当たり前のせかいで育ったからだと思うが、だとすれば映画やアニメにおける役者や声優のお芝居・演技に対する感動を全く覚えることのない人生を送るのかもしれない。
鬼滅の刃の劇場版を観て涙しているおれを、不思議そうな目で見ていたのはそういうことなのだろうか。
まだ年齢的に早かっただけなら良いのだが。


