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現場の取り組み

情シス野郎チラシの裏【71】 デジタル寿司

現場の取り組み

【情シス野郎 チラシの裏】は、「情報処理安全確保支援士」資格を持つ情シス担当が、仕事や自らの体験を通して得た知識や技術を、技術面に詳しくない人でも読みやすいよう「チラシの裏」に書くかのごとく書き散らす!というシリーズです。

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唐突だが、おれは回転寿司が大好きである。

美味い寿司屋には特に興味がない。魚に詳しいわけでもない。ハマチとブリの違いは食っても分からない。なぜかレーンを回っている寿司。あれが好きなのだ。

だって回ってるんですよ、寿司が。そりゃもうクレ◯ジーですよ。

しかし、なぜ回してるかといえば、業務効率化という目的に基づいていると推察する。

毎度毎度、細かく注文が入る寿司屋で、大量の客をさばこうと思えば、1人あたり10回も20回もネタの注文を受けて伝票書いて最後お会計~、なんてやっていられない。

それを勝手に取って食べてね、と言わんばかりにカラフルな皿で寿司を回し、取った皿の色と数でお会計。

特徴的な業務フローに完全対応するだけでなく、ミスも減らし、人件費も抑え、その結果、低価格で提供でき、笑顔で「ク◯イジー!(←褒め言葉)」と言わせるだけのエンタメ要素もある、一石五鳥のよく考えられた仕組みである。

ところが、古き良き回転寿司は数年前に姿を消した。

SNSの浸透、承認欲求、他者への思いやりのなさ、若さゆえの非常識、、、など色々なものを掛け合わせた“あの”事件が、コロナ禍以降も残る潔癖志向にトッピングされた結果、回るレーンは消滅したのである。

回っているのは写真だけ。

注文はテーブル据え置きのタブレットで行い、寿司はレーン越しに手渡されるか、その時だけ動くレーンで送られてくる。

もはや回転寿司ではなくなってしまっていた。

おれも足が遠のき、コロナ禍の家食ブームで業績を伸ばした注文寿司に走ってしまったのだが、先日久々に回転寿司を訪れた際、久々にあの頃のワクワクを思い出す体験をした。

ファミレスのようなテーブル席の横にどデカいタッチパネルが設置されている。ワイド70型くらいはありそうで、とにかくインパクトが凄い。知らずに入ったので、席について言葉を失ってしまった。

事態を飲み込み、タッチパネルに目をやると、ふむ、色とりどりの寿司ネタがバーチャルレーンを流れている。

流れている寿司ネタに触れると、カートに入る。それをまとめて注文が出来る点は、従来のタブレットと同様のようだ。

しかしまあ、寿司ネタはそもそもカラフルで多種多様なので、思わず見入ってしまう。タブレットだと、自分が普段食べないネタのページは開かないまま終わることもあるが、画面で流れていると、強制的に目に入るため新しい発見もあったりする。

さらに、注文した寿司は、共通レーンからテーブル専用レーンにピットインするため、他の客の邪魔にならず、次々と流すことが出来る。

さらにさらに、一定量頼むとどデカいタッチパネル上でゲームが始まり、ひと盛り上がり。俺もタッチパネルをひと通り触り倒してから店内に視線を運ぶと、全てのテーブルでタッチパネルをみんながペタペタして楽しんでいる。

200人は入る店内に、従業員はレジ横に1人、待ち客をさばくのに1人。厨房もシャリは機械化されているだろうから、ネタを乗せてテーブルを指定して送る人が数人いるくらいだろう。もちろん、テーブル上に盗まれて困るようなものは置いていない。

効率化だけでなく、リスクの排除と顧客満足度向上を兼ね備えた、おそるべきDX体験であった。

40年ほど前、子ども時代にカミナリ親父に連れていってもらった回転寿司で受けた感動。

今の時代の子供にも感じてもらえるのかな?と6歳児に「凄いね!楽しいね!」と声をかけたら、返って来た回答は「イクラ!あとコーラ!」だった。

デジタルネイティブ世代とこういう感動を共有するのは難しいな。むしろ、以前のように寿司が回ってたら感動するんかな?

ブリと間違えてハマチを注文しながら、そんなことを考えた「デジタル寿司」体験だった。

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