情報システム部門に課せられる当然な役割として、導入済みシステムの運用がある。
「システムを正しく動かし、正しく使ってもらうための業務」と言えばいいだろうか。
業務内容は「システム運用」で検索すればいくらでも見つかるので割愛するが、
非常に多岐に渡る。ただしマニュアル化されている単純な反復作業も多い。
そのため、得意のコーディングで究極の性能を追求するプログラマーや、
ものづくりこそ至高と考えるエンジニアは敬遠するかも知れない。
そんな中、まず今回はシステム運用に携わる人間のあるべき心構えについてである。
「システム運用」とはシステムに「価値」を持たせる業務である。
システムは芸術作品ではないので、作っただけでは何の価値もない。
また、人の手で作られたものであるので完全無欠でもない。
どこかしら欠陥のあるシステムをなるべく正しく動かし、利用者に寄り添い、
修復・改善を行うサイクルを機能させて初めて価値が生まれる。
そしてその価値を決めるのは利用者である。
運用する人々の知識や技術、経験や誠意などにより利用者の評価は変わり、
システムの価値は左右される。
仮に、浦安あたりにあるテーマパークのスタッフの態度が最悪で、
アトラクションが操作ミスで度々故障したり、復旧に何日もかかったりしたらどうだろうか。
来園客は激減し続けるに違いない。
しかし実際には、かのテーマパークのスタッフは運用者としておそらく超一流であり、
だからこそゲストは何回でも来園するし、2時間待ちの行列でも当然のように並んでいる。
運用者が、テーマパーク自体やアトラクションという「システム」の価値を何倍にも高めつつ維持しているという理想系である。
システム運用の場において、誠実で正確かつ迅速な運用が出来ればシステム自体も高い評価を得られるだろう。しかし失敗すれば、システム自体や場合によっては開発者の価値をも下げてしまうだろう。
単純な反復作業が多いとは言えども、システムや開発者の血と汗の評価を背負っている、
という責任感を持って取り組むべき、やりがいのある業務である。
また業務範囲が幅広いため、総合的な見識やバランス感覚が必要となる事も多く、
究極や至高を追求する人々の手に負えない場合もある。
そのあたりは次回。